『どうすれば母になれるのか、どうすればいい母になれるのか、熟すときは天のみぞ知る自然の領域です』
あとがきに、こう書かれたこの本は、人間も自然なんだと気づかせてくれて、私に、ターニングポイントを招いてくれた本です。
バースデーコーディネーターの大葉ナナコさんの言葉が、瑳山ゆりさんが写した屋久島の自然とともに綴られた、生命の循環のメッセージが詰まった本です。
【BIRTH】という題のこの本
何かを生みだすという意味で、母にならなかった人にも男性にも、どんな立場の人にもきっと届く、、、と紹介されていて
手元に置いておくべき本だと感じて、12年くらい前、フリーランスになった頃に、購入しました。
購入したその当時は、少し読んだだけで涙が止まらなくて、最後まで読めませんでした。
また開いても、少し読んでは、パタンと閉じてしまう。
母になった人にしかわからない、母にならなかったわたしには辛すぎる、
綴られた言葉からそう感じてしまって、傷つくばかりでした。
それでも時々、開いてしまう。
泣きながら読んでしまう
不思議な存在でした。
今では、この本が、わたしを屋久島に連れて行ってくれたと思っています。
行けば何かがわかるかも、ずっとそう思っていて、ちょうど9年前に屋久島に行きました。
森の中に入って、屋久島特有の、命の循環を感じる、木々たちの姿を見たとき
すーっと、身体がゆるんでいく感覚がやってきました。
そのときに、自分をゆるしてあげたい!という気持ちが湧き上がりました。
赤ちゃんが欲しいと言いながら、不妊治療をしなかった自分を
自然に任せると言いながら、ホントは妊娠出産する覚悟がなかったのではないだろうかと、
心の底に押し込めて聞かないようにしていた声があって
深い意識の中では、手を尽くさなかったのではないだろうかと、責めていた自分から、解き放ってあげたいという気持ちがやってきました。
朽ちた幹を、種を超えた多様な次の命へと、惜しみなく与えている屋久杉の姿を見たとき
わたしは、わたしを生きるだけでよくて、覚悟があろうがなかろうが、弱いままのわたしを生きるだけで、充分素晴らしいことなんだとそう思えて
やっと、ひとつ、ゆるむことができたのでした。
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『本当の自分をゆるそう
ゆるもう
ゆるもう
ゆるむと真実が
見えてくる
ゆるもう
ゆるそう
ゆるむことは
ゆるすこと』
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その後も、この本だけでなく、わたしを揺さぶるものが、わたしの前に現れるたびに
最初にこの本をパタンと閉じたように、それを避けながらも
期が熟すと、やはり、ゆるむ時がやってきて、心を開いていくことで、癒しはどんどん深くなっていきました。
今日、ふっと、この本を思い出すことがあり、開いてみたら
わたしが母になっていようがいまいが、
わたしという樹は成長して、枝先に花や果実をつけ始めていて、それは、わたしのこどもだから、母のようにいのちのしずくを巡らせていると、そう思いました。
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愛する強さを
得るためにあった
今までの悲しみ
涙のしずくは
いのちを育む
樹液に変わる
傷ついた心さえ
誰かを助ける
力になる
なにひとつ
むだなことは
ないのだから
受け入れて
与える喜びを
知るたびに
与えて
ただ与えて
すべてを
手放した時
抱きしめるべきものに
気づくはず
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あとがきには、こうあります。
『時だけは、人智では創れない。花は、“蝶よ、早く花粉を運べ”とは言わない。実をつけたい樹木も、“秋風よ、早く花粉を運べ”とは言わない。自然界の真似をしてその時を待ってみて。人も自然の一部なのだから』
わたしは身体とつながることを、仕事にしています。
身体とは心を含んだ体のことです。
身体とつながれば、時が満ちるのを待つことが、できるようになります。
クライアントさんからは、身体の声を聞けるようになったという、感想が届きます。
期が熟すのを待つ力が、ネガティブな時間を支えてくれて、自分の身体の声、本心の声が聞こえてくるまで、待てるようになるのです。
時だけは、人智では創れない。
時を待つことも、生きていくという、動く姿です。
身体の声を聞くということは、自分という自然の声を、聞くことなんだと思います。
〜『 』の中の言葉は本からの引用です〜