数日前にフェイスブックのフィードに届いた辰巳芳子さんの言葉「感応力」。
命のスープで知られている辰巳芳子さんは94歳になられていました。今でも現役で食を通して命のことを伝えていらっしゃいます。
以前、ドキュメンタリー映画を観て、辰巳芳子さんの、やわらかそうな手の表情や動きに感動したことがあります。
食材やそれを作る農家さんへの感謝の気持ちを思って動くその動きには、感応力が現れていたのだと思います。
『感応力を育てる』
感じて動くこと・・わたし自身も日頃意識していて、また、伝える時にも大切にしています。
たとえば、手。
手を使う時に、手の感覚を研ぎすまします。
辰巳芳子さんは、けんちん汁の作り方を伝えるとき、鍋の中で野菜が喜ぶように菜箸を動かしなさいと話されます。
野菜の気持ちで、こっちから来たから、次はこっちから来るかな、というように、想像して箸を動かすと、箸があっちこっちと暴れずに、野菜全体によく火が通り、美味しくなると。
これ、やったみたら、菜箸の先にふれる野菜の感触が、直接手で触れているかのように伝わってきて、自然と箸がやさしく動きました。
感じて動くと、手の動きは柔らかくなり、肩や首も力まず楽に使えてきます。
そんな時の動きは、自然と美しくなっているものです。
所作の美しい人は、カラダの使い方がとても上手です。
日常で手を使うことって多いですね。その度にやさしく使うのと、力んで使うのとでは、動きも変わるし、疲れ方も変わるし、実はカラダ全体にも大きな差が出てきます。
・菜箸の先端、包丁の刃先までが手のように(野菜の感触はどんな?)
・自転車のハンドルから地面に触れる車輪までが手のように
・登山のトレッキングポールの先端までが手のように
・ペンや筆の先までが手のように(紙の感触はどんな?)
・車のハンドルから車の前輪までが手のように(地面のゴツゴツは?)
こんなふうに、手に触れている感覚から、道具の先まで手のようなイメージで使かったり動かしたりしてみてください。
切っている野菜の感触や、触れているものの温度や質感、地面の素材や振動、そんなものが手に伝わってきませんか?
それに気づいて動いているとき、どんな感じがするでしょうか?
その時のココロの様子はどうでしたか?
毎日、坂道を通って自転車通勤していた生徒さんが、手の意識をハンドルから地面まで伸びるイメージに変えたら、上り坂が楽になり、続けていたらいつの間にか尿漏れが改善した、という体験談もあるくらい、感覚からの動きはパワフルです。
日常の手の使い方を、触れている感覚に意識を向ける、道具の先まで手のイメージへ、シフトしてみてください。
そうすると、どんな感じがするか、反応を受け取ってみてください。
しばらく意識して使ってみると、自分にとって心地いい手の使い方が身に付いていきます。
感じて動くということは、カラダとつながるということ。
そしてカラダの感覚は、ココロへもつなげてくれます。